問題がモンダイなのだ
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問題というものは何なのか、どう解決していけば良いのか、そうい
う問題そのものを問うモンダイを設定し、問題の仕組みや答えを考
える。そうして問題に取り組むときに知っておいたほうがいいこと
を示していく。
本書は、
中略
当面はなんの役に立つのかわからないまま携帯していれ
ば、いつかどこかで具体的な問題に遭遇したとき、手ぶ
らでいるよりはほんのすこしうまく対処できると思う。おわりに 126Pより
新書
山本 貴光 (著), 吉川 浩満 (著)
筑摩書房
2006/12
読書所要時間:約1時間30分
参考リンク
・サイト:哲学の劇場
良かった所
- 葛飾北斎の絵の組み合わせと独特のフレーズで本文を補足
する挿絵が面白い。
- 1つのテーマだけを取り上げているため、丁寧な説明ががされてい
る。
- 問題をつくるという考え方は、感銘を受ける。
悪かった所
- タイトルがイマイチ分かりづらい。
- 文章量が少ない。
- たまに違和感のある例えがある。
「問題がモンダイなのだ」タイトルを見た時、何かのとんちのよう
な哲学のような 妙な話の本かと思って、怪訝に思ったのだが。
しかし、何という事はない
問題という概念的なものを考える問い(モンダイ)と定め、考えてい
き様々な問題に対する備えのような内容だった。
奇をてらって、失敗したようなタイトルだと思った。
もう1つ奇をてらったような、葛飾北斎の挿絵がある。これは北斎
漫画(参考)などから切り出した絵を組み合わせたり、ちょっとし
たフレーズ入たりして、本文を装飾していのだが。これは、味のあ
る挿絵になっていて良い。北斎の浮世絵とフレーズの可笑しさが相
まり、良いメリハリ、途中の息抜きになっている。
この本、定価680円+税で新書の中では安い方だが、126ページと薄く、
行間も広いので、文章量自体が少ない。ちょっと損した気分になり
そうなのは残念だった。短時間で読み終わってしまう。(良いことか
もしれなけど。)
本には、沢山の例えが出てくるが、ゲームでの例えが唐突に出てき
て、それが妙に具体的だったり、ゲームじゃなくても良くないか?
という気がするのがあり、違和感を覚えた。何よりそれで、一般的
に分かりやすい例になってるのか。と思った。
例えば
あるいはどのヴァージョンでもいいけれど『スーパー
マリオブラザーズ』のようなゲームで遊ぶ場合。さらわ
れたピーチ姫を助け出すまで、つぎつぎとステージをク
リアしていくあいだにも、プレイヤーは問題が解決され
ないままでいる状態、なにか対応すべき問題に迫られる
ことを楽しんでいる。第一章 46Pより
や
たとえば、あるゲーム会社でAというゲーム機用の新
しいゲームXをつくるかどうかを検討しているとする。
中略
ところで、検討をしているあいだにゲーム機Aのメー
カーが、ゲーム機Aの製造販売を打ち切ることを発表し
たとする。第一章 57Pより
など、ゲーム好きやゲーム製作者対象の本でもないし、ひょっとし
て、筆者がゲーム関係者なのかもと思って、巻末の著者紹介文見た
ら案の定、ゲーム製作者(元?)だった。ということは、筆者がゲー
ム関係者でもない限り、ここでこの例えはおかしいと思うくらいの
違和感があったということだと思う。自分もゲーム好きなための過
剰反応の可能性もあるが。
1つのテーマだけを取り上げているためというのもあるのか、丁寧
でしっかりと説明がされるので、ゆっくり理解していくことができ
る。
例え話も多いし、
これまで、「問題」という言葉をさまざまに使いなが
ら、その性質を見てきた。共通するのは、次のふたつの
性質だった
●問題は向こうからやってくる
●問題は人に不確定な状態を生じさせ、なんらかの対
応迫る第一章 48Pより
という感じで所々、今まで説明したことをまとめ、確認させてくれ
る。
この本の第三章は、本の最も重要な部分と思われる、問題をつくる
についてである。問題をつくるとは、何でわざわざ、嫌な問題をつ
くる必要があるのかと思いそうだが、そういう事ではなく、解決す
ることが、難しいような問題も、固定概念に囚われず、その問題を
つくりかえることで、解決することができるようになる。という事
である。
コロンブスの卵を例にして、
「卵を割らずそのままに」という問題として受け取って
しまった人には、そう受け取った時点ですでにそれは解
けない問題としてたちあらわれていた。この問題を解く
には、そういう思い込みをやめて、卵を割ることもまた
可能性のひとつとして考慮する必要がある。
ここでコロンブスがやってみせたことは、まさに問題
のつくりかえだ。
コロンブスの例でやっていた、問題を解決する過程において、問題
をつくりかえて、回答すること。無意識やっていたかもしれないけ
ど、そういう意識で、問題に取り組むことはなかったし、そうする
と良さそうだと思った。関心させられた。
いつかそういう意識が、難しい問題を解決する手助けになるかもし
れない。