学問のすすめ 現代語訳

えぬに評価:

「天は人の上に人を造らず」から始まる日本で最も有名な書物の一
つである「学問のすすめ」を現代文で分かりやすく翻訳。
この137年前の名著は、現代でも色あせることのなく、人が豊かに、
より高みで生きていくための指南が展開されている。混迷する現代
でこそ必要な本ともいえる。
福沢諭吉。さすが壱萬円とうなる1冊。


学問とっていも、単に物理や地理の勉強をすることだけを勧めてい
るのではなく。それらの生活への応用も含め学問とし、学問とは何
かを示す。

この本のタイトルは『学問のすすめ』としたけれども、
決して字を読むことのみを勧めているのではない。

第2編 人間の権利とは何か 24Pより


今回は「まんがで読破 学問のすすめ」と比較などしつつ紹介。

DATA

新書
著者:福澤 諭吉 (著), 斎藤 孝 (翻訳)
出版社:筑摩書房
発売日:2009/2/9
読書所要時間:約5時間
大型書店で購入
参考サイト
・[==http://www.aozora.gr.jp/cards/000296/card47061.html:title=学問のすすめ 青空文庫]

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

良かった!

  • 昔の日本にこんな完成された生き方指南書があったのか

学問を通して独立した精神の必要性を説き、人生設計の技術や判断
力の鍛え方、実行力をつける方法、人付き合いまで。まるで現代の
ビジネス書かと思うような内容に、驚かされる。

  • 現代の文で非常に読みやすい

青空文庫などで、無料で読めるが文語体で敷居の高い原書。それを
分かりやすい現代の口語体で、798円で読めるのは嬉しい。

  • まんがで読破では分からない福沢諭吉の思想が読み取れる

明快な表現。手厳しくバッサリ斬る主張など。解説調のまんがでは、
つかみ辛い福沢諭吉の考え方が見え、息づかいが感じられる。

イマイチ!

  • 時代の違いですんなり入ってこない部分もある

度々お金の話が出てくるが貨幣価値が違う。税金が年間1円か2円く
らいと書かれても、本質は変わらないかもしれないが、すんなり入
ってこない。
かっこなどで、現代の貨幣価値も併記しておくと良かったかも。

  • 国というスケールの大きな話は、自分に当てはめ辛い

開国間もない、当時を考えれば、国の独立や国作りの話も必要な話
なのかもしれない。しかし現代では、そこまでスケールの大きさに
自分を当てはめれないと思う。
これは、国を会社にすり替えれば良いと思った。

  • 要点をつかむには、この本の解説より、まんがの紹介の方良い。

印象的!

人として自分で衣食住を得るのは何も難しいことではないのだ。
これができたからといって、別にいばるほどのことではない。

第9編 よりレベルの高い学問

続いて、人間たるもののつとめを果たしたとは言えない。この蟻レ
ベルで満足している人もいる。とバッサリ。
この事に関して、ここまで、手厳しい意見は中々は見ないと思う。
大抵は、より稼ぐためやリストラされないために頑張りましょうと
いう話だと思うが、衣食住を自分の力で確保できたくらいで満足し
ているのは人間としてやるべきことをやっていないということであ
る。
言ってることは分かるが、これを現代や全ての人に当てはめるのは
どうだろうか。1つは衣食住を手に入れる方法が現代は多様であり、
ある人が衣食住のために行っていることが、別の誰かの大きな成果
につながるのではないかと思う。

まとめ

全編に渡って、色褪せないより良く生きていくための考え方が満載
で、現代のビジネス書、自己啓発本に通じている。そこでそれらの
本より、この本が持つ価値は、福沢諭吉の歯に衣を着せない本質を
捉えた表現やユーモアある文章。何より、日本人なら誰でも分かる
であろう福沢諭吉が書いていることだろう。



学問のすすめ」は最強のビジネス書だった

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
福澤 諭吉
筑摩書房
売り上げランキング: 323