はたらきたい。ほほ日の就職論



ちょっと修正しました


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糸井重里さんが「面接試験の傾向と対策とつまらなさ」という題で、
ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)に載せたコラムの問題定義とそれに対
する反響から、ほぼ日的な答えを出すための「ほぼ日の就職論」と
いうほぼ日の特集から生まれた本。特集で掲載された、5つの対話
と、本の内容に関わりそうな百のことばをほぼ日アーカイブから抜
き出して掲載している。

キーワードは、「大切にしているものは、何ですか?」

第0章 17Pより


単行本(ソフトカバー)
ほぼ日刊イトイ新聞 (著, 編集), 糸井重里 (監修)
東京糸井重里事務所
2008/3/18
読書所要時間:約3時間30分


参考リンク
ほぼ日刊イトイ新聞
「ほぼ日」の就職論





良い所

  • 就職や働く上での不安や迷いの助けになりそうな良い言葉や、良

いヒントが多数

  • 本文とマッチしているほぼ日アーカイブからのことば良く、それ

や章の配置、編集が秀逸

  • ほぼ日アーカイブからのことばの出典がほぼ全て巻末に明記して

あり、その後の楽しみもある


悪い所

  • 実践的じゃないので、この本を活かすための敷居は高そう
  • 元のほぼ日の特集の内容が全て載っているわけじゃない
  • 普通に就職活動した人(話)が少ないので、共感が薄い

元々は、ほほ日内の企画なので、現在も本の内容がwebで無料でほ
とんど読める。なので、本とwebの違いも少し見てみた。

就職でうまくいくための、緊急の特効薬のような内容を求め
ているかたには、あまりオススメできないかもしれません。

第0章 9Pより

夜道の向こうに
微かに見える遠い灯として。

あとがき 266Pより

とあるように、実践的なものとは異なるので、具体的に就職のため
に、はたらくために、この本を読んで明日から自分のすべきことが
見通せる人はそういないと思うので、そのつもりで、気長に構えら
れる人向けと思う。
また、大体対話の記録なので、就職論というより、就職に関するヒ
ント集という感じ。この本を活かす敷居は高そう。


ヒント集として見れば、さすがに人材のプロやキャリア論の研究者、
成功者たちだからなのか、糸井さんの引き出し方うまいのか。そこ
かしこに、就職や働く上での不安や迷いの助けになりそうな良い言
葉や、良いヒントがちりばめられている。
例えば、

金井 そのとおりです。
   実際、新しい世界に入るまえの「不安」は
   環境への適応に役立つんですよ。<中略>
金井 だから、不安でぜんぜん、悪くない。<中略>
糸井 それがあたりまえなんだ、と。
金井 はい。
   だから、漠然としたものでもいいから、
   将来への希望を持ってほしい。

第4章 203Pより

とか、本の中にある就職活動に対するアンケートで8割以上が不安
という結果があったけど、「不安は役立つ」は、力になる言葉だ
と思う。


また、これらの言葉や内容ををほぼ日アーカイブから抜き出された、
著名人などの言ことばが補填、強化する。自分の知ってるあの人も
同じようなこと言ってるとなれば、その話はさらに自分の中で活き
ると思う。

金井 ただ一方で、好きなことを
   仕事にしないほうがいいと
   アドバイスする人もいるんですよ。
   だから、学生さんなんか、
   つい「働くなんてイヤだ」なんて
   思ってしまうかもれないですけれど、
   テニス好きな人がテニスを楽しむように、
   仕事のなかにだって
   「おもしろい」という要素があるはず。

第4章 190Pより

のすぐ下に

オレ、生き方がおもろいわけでもないし、
破天荒でもないし、
トークがおもろいわけでもないし、
アドリブがきくわけでもないし。
結局、何が好きかって言ったら、
コントが好きで、
そこに頭を使ってる時が楽しいねんな。
田中直樹(ココリコ)

第4章 190Pより

というような。


残念ながら、本は、特集の内容を全ては載せきれてない。意図して
なのか、載せたかったけどできなかったのか分からないけど、でも
この所々に、関わりのある良いことばを一緒に載せている編集だけ
でも本の価値があると思う。また冗談のような、真理のような「み
うらじゅんに訊け-就職編-」が章の間にあって、順番に読むと良い
具合にメリハリがつく。これも本の編集が秀逸な点だと思う。
さらに、ほぼ日からのことばは、出典元のURLがほぼ全部巻末に載
っていて、気になったことばの前後や、言った人のことを掘り下げ
て楽しめる。
   ※webは無料で見れるのはもちろん、本に載ってない対話や
   内容も(色々なアンケートなども)載っているし、
   みうらじゅんに訊けは動画見れる(これは活字の方が分かり
   やすいかもしれないので一長一短かも)といった多数の利点
   がある。


あえて、気になる点をあげると

河野 糸井さん、
   就職活動、なさいました?
糸井 してない、ですね。
河野 やっぱり(笑)。
   いや、僕もほとんどしてないんで、あまり偉そうなことも
   言えないんですが、

第1章 28-29Pより

とか

矢沢 うーん‥‥さっきも言ったように、
   ぼくは勤めたことがないから、
   はっきりした就職論というのは、正直、わからない。

第5章 241Pより

とか
自由業の方々とか
いわゆる面接試験の傾向と対策を実行した人があんまり出てこない
ので、共感が薄い。もっと言うと、現状の就職活動もしないで自分
の才能(と努力)で成功した人たちの理想論?という感じもする。ひ
ねくれた見方になるかもしれないけど。


自分の共感する話やことばを胸に閉まって、これからの指針にする
のがこの本の上手な活かし方かも。
ソフトカバーなのも良い。


はたらきたい。
はたらきたい。
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東京糸井重里事務所
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